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最終更新日:2024年10月28日

東海地方会

2024年8月31日 第30回研究会

日時
2024年8月31日(土) 14:00~16:40
会場
オンライン(Zoom)
プログラム
【会員報告】
「産推研東海地方会活動報告」
大倉 暖氏(三菱電機 産業医,医25期卒)

【特別講演】  
・「飲酒運転防止を切り口に ASKがめざす3つの予防」
今成 知美氏(NPO法人 アスク 会長 )

・「企業内でギャンブル依存症問題が起きたなら」
田中 紀子氏(ギャンブル依存症問題を考える会 代表 )
※【ご参考】厚労省の依存症啓発漫画(厚労省HP,ギャンブル依存症編に講師の田中さんがご登場)

・特別講演講師と参加者との質疑応答
菅沼 直樹氏(刈谷病院 アディクションセンター長)もご参加
参加者数
32名
報告
大須賀 淳(三菱ケミカルグループ,医32期卒)

2024年8月31日(土)開催の東海地方会第30回研究会について報告いたします。

今回は当初、ハイブリッド開催(現地開催+オンライン開催)予定としておりました。開催前に台風10号が日本列島に上陸し、東海地方にも接近する予報であったため、オンラインのみの開催と変更いたしましたが、32名と多くの皆様にお集まりいただきました。講師の先生方、参加者の皆様に御礼申し上げます。

第一部では、会員報告として大倉暖氏(三菱電機 名古屋製作所,医25期卒)より、「産推研東海地方会活動報告」としてご講演いただきました。

自己紹介からはじまり、麻酔科医から専属産業医へと転身をされたことをお話しいただきました。産業医として活動する中で、臨床医のお立場で活躍されていた時との違いや戸惑いを紹介され、会社内では本人だけを最優先するわけにはいかないこと、解決には時間がかかることなど、ご自身のライフスタイルや体調の変化、ストレス反応の三相を交えてお話しがありました。その後事例提示としまして、一例を紹介いただきました。精神疾患だけでなく複雑な事情が絡み合う事例でしたが、昨今の法令の参照、課題を整理し、病院受診にかかわる助言を産業医がおこなうとともに、社内での調整を経て適切な配慮の実施となり、本人は復職・就労を継続しているとのことでした。参加者からも問題点・情報の整理が分かりやすく誠実な対応との共感の声が上がっていました。

第二部は特別講演として3人の先生方にお越しいただきました。

第二部の前半では、今成知美先生(特定非営利活動法人 ASK代表)より、「飲酒運転防止を切り口にした職場対策と依存症の3つの予防」としてご講演いただきました。

自己紹介ののちまずは、ASKの3つの予防として、1次予防、2次予防、3次予防から活動の紹介がありました。特に、アルコール健康障害対策基本法の議員立法を目指した活動の経緯やご苦労、地域連携のモデル、国連のSAFER、酒類業界の自主規制にかかる掲示・表示の事例等についてお話しいただきました。次に、飲酒運転防止を切り口にした職場対策としまして、飲酒運転の厳罰化と死亡事故件数の推移、家飲みの家計支出増加と外飲みの家計支出再増加、飲酒運転のパターンや検挙者の状況・受診義務の自治体条例、ASK飲酒運転防止インストラクターについて紹介いただきました。次に、飲酒ガイドラインの有効活用ということで、動画を交え厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」について解説がありました。最後に、依存症者に対するスティグマ・社会的排除について、その解消の必要性をいくつかの例を示しながらお話しいただきました。

第二部の後半では、田中紀子先生(公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会代表)に「企業内でギャンブル依存症問題が起きたなら」としてご講演いただきました。

はじめに熱いメッセージとして、オンラインギャンブルがCOVID-19 の巣ごもり等を契機に流行し社会的・世界的な問題となっていることと、企業内でギャンブル依存症者が発生した時の対応で当事者が窃盗・横領などの明らかな罪を犯したときに企業が借金として肩代わりをするといった温情的対応を取ると逆効果になりえることを伝えていだたきました。社内でのギャンブル依存症による着服等の事例にはじまり、それらに対するスティグマ、オンライン化による若年化と相談件数・犯罪ケースの増加などの現状のデータの紹介、また、公営競技のシステムや広告の課題について様々な側面からお話しいただきました。次に、職場におけるギャンブル依存症者が起こす問題について、家族の借金の立て替えのみならず上司や同僚への借金が課題であることや、職場での適切な対応方法につき事例と動画を交えての解説、そのほか相談電話や支援先の選択の目安等も紹介いただきました。

第二部の最後に、菅沼直樹先生(刈谷病院 アディクションセンター長)も交え質疑応答を行いました。菅沼先生には講演を総評いただいた後、今成先生、田中先生と共に、参加者からの事前質問も含め8つの質問にお答えいただきました。薬物治療の現状など医学的な観点から、実務にかかわる内容まで幅広く質問がありました。

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