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最終更新日:2024年10月3日

九州地方会

2024年1月20日 第52回研究会

日時
2024年1月20日(土)15:00~16:30
会場
TKPガーデンシティ博多新幹線口 プレミアムホール(会場開催のみ)
共催
令和5年度 日本産業衛生学会産業医部会研修会
プログラム
13:30~15:00 【令和5年度 日本産業衛生学会産業医部会研修会】
講師: 吉川 徹先生(労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
テーマ: 「働き方改革~特に陸上貨物運送業と建設業を中心に」
共催:産業医学推進研究会九州地方会・日本産業衛生学会九州地方会産業保健看護部会

15:00~16:30 【産推研九州地方会 第52回研究会】
講師: 谷 直道先生(産業医科大学 人間工学)
テーマ:「人間工学的腰痛リスク評価に関する国際規格の概要」
内容:ISOが発行している腰痛リスク評価の規格に関連した内容で、重量物取扱いや医療介護現場で活用できる評価法を紹介します。
参加者数
36名(産業医21名,保健師13名,産業医・保健師以外2名 うち産推研会員21名)
報告
2024年1月20日(土)に九州地方会第52回研究会を開催いたしましたのでご報告します。

今回は、日本産業衛生学会産業医部会と共催で開催いたしました。参加者は総勢36名と多くの方にご参加いただきました(産業医21名、保健師13名、産業医・保健師以外2名 うち産推研会員21名)。

第一部(産業医部会)は、労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所の吉川徹先生より、「働き方改革~特に陸上貨物運送業と建設業を中心に」というテーマでご講演いただきました。「2024年問題」についてが、実際に、何がどう問題で、そのことによりどのような影響が起こるのか、直面する産業保健の課題まで、詳細な資料をお示しいただきながら具体的に解説いただきました。「荷物を運んでいるのは、トラックではなく『人』である、という事実から考えると、人手不足と高齢化はますます進んでいくのであり、業界全体での抜本的な見直し、効率化、行動変容が必要であることを実感しました。また、過労死等の実態から見た対策の力点として、運輸業は脳・心臓疾患全体の3割を占め、近年は精神障害事案も増加していること、建設業は業種が多様であり、職種毎の過重労働メンタル対策が課題であることを挙げられました。特に運輸業、建設業は中規模事業所が多いことから、既存の産業保健体制の強化に加え、新しいサービスのあり方の検討が必要とお話がありました。最後に、対策実装研究の取り組みのとして、ステークホルダーの共働体制を構築し、実装アクションを実行していること、運輸・建設業に関係の深い産業保健関係者が情報共有出来る企画やネットワークづくりにも力を入れていることをご紹介ただきました。

第二部(産推研九州地方会)は、産業医科大学人間工学研究室の谷直道先生より、「人間工学的腰痛リスク評価に関する国際規格の概要」というテーマで、重量物取扱いや医療介護現場で活用できる評価法についてご講演いただきました。はじめに、人間工学という学問の成り立ちから産業保健における立ち位置に触れていただくことで、普段の業務では意識することが少ない人間工学の役割について復習することができました。今回は日本でも用いられることが比較的多いOWAS法に加え、世界的に使われているNIOSH Lifting Equationをベースにした腰痛リスク評価法について解説いただきました。そして医療・介護施設の組織診断型腰痛リスク法として日本語版MAPOインデックス法をご紹介いただきました。こちらは作業方法や作業条件だけではなく、組織要員、職員教育の要因等を含めて定量化することで、職場全体の腰痛発生リスク評価が可能となっており、谷先生が15施設で実際に調査し、妥当性と信頼性を検証されたとのことで、今後の活用が期待されます。谷先生は具体的な手法の提案を行い、現場でツールを活用することに加えて、職場で意見を出し合うことから気づきや改善策が生まれるのだということを講演の中で強調されました。また、グループワークを通して、お互いの視点が異なることや、意見を出し合うことによって、視点が広がり考えが進むことを経験させていただきました。業種・業務だけでなく、職場の風土や管理者・現場の意識によって、改善活動の方向性は変わるため、業種に応じた適切な方法で腰痛リスクを評価することや職員教育をすることの重要性について改めて認識を深めました。

終了後に行われた懇親会にも、吉川先生、谷先生をはじめ、25名と多くの方にご参加いただきました。久しぶりの懇親会では、「情報交換ができて有意義だった」、「他の企業の産業医や保健師との交流が新鮮だった」、「また実施してほしい」といった声を数多くいただきました。

御講演頂いた先生方を始め、ご参加頂きました皆様、本当にありがとうございました。

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