近畿地方会
2010年1月30日 第19回研究会
- 日時
- 2010年1月30日(土) 14:00~16:30
- 会場
- 梅田スカイビル タワーウエスト
- プログラム
- 講演:診療の質評価とレセプトの活用
講師:東 尚弘先生(東京大学大学院医学系研究科准教授)
- 参加者数
- 15名
- 報告
- 轟 美和子(産業医科大学精神保健学,21回生)
1月30日に開催されました、第19回研究会のご報告をいたします。今回は、日頃から連携先の診療機関との関係の中で、お互いの提供している診療の質を評価し、評価されざるを得ない私たちにとって、学術的な観点からのお話を伺える非常に貴重な機会となりました。
最初に、諸外国で診療の質が評価されている例として、アメリカでは来院後何時間で肺炎患者に抗生剤投与が開始されているか、病院ごとに比較出来るサイトを国が運営していること、イギリスではGPを評価するシステムがあることをご紹介いただきました。一方、日本では客観的に診療の質を評価するシステムが無いように思われますが、全国がんセンター協議会が病院ごとのがんの5年生存率を発表していること、がんについて『診療の質指標=QI』という概念が存在すること、現在ある評価基準の使い方や解釈に注意を払わなければいけないことを教えて頂きました。
また、レセプトを使った診療の質の比較についてもご紹介頂きました。上気道炎に対して、どの病院がどのくらいの頻度で抗生剤を処方しているか、またそれぞれの病名に対して標準的な治療がなされているか、ということがレセプトを分析することにより検証出来るそうです。このような評価をしていくことで、過当競争を煽らずに、医療の質の底上げを図ることが目的ということでした。今後、診療の質の評価が一般的となり、どの医療機関でも標準的な診療が受けられるようになる日が来るかもしれない、と思いました。
1時間半ほどご講演頂き、その後に1時間ほど質疑応答がありましたが、途切れることなく次々に質問が出て、大変盛り上がった2時間半でした。
研究会終了後は、懇親会の場へと会場を移しました。来年度関西に就職予定の若手から、ベテランの先生までご出席頂き、アットホームな雰囲気の中、ざっくばらんな話で盛り上がり、友好を深めることが出来ました。