関東地方会
2023年7月23日 第83回研究会
- 日時
- 2023年7月23日(日) 14:00~17:00
- 会場
- 日本橋ライフサイエンスハブ
&
オンライン(Zoom) - テーマ
- 「幸福学」
- 共催
- おきゅなすの会
- 講師
- 前野 隆司先生
(慶応義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授)
- 参加者数
- 48名
(現地参加17名、オンライン最大アクセス時31名(現地からのアクセス除く))
- 報告
- 菊池 祐太(三菱重工業,28回生,産推研関東地方会事務局)
小笠原 隆将(三菱ふそうトラック・バス,27回生,産推研関東地方会長)
2023年7月23日(日)開催のおきゅなすの会&産推研関東地方会合同研究会について報告いたします。
今回は、「幸福学」のテーマで、講師に慶應義塾大学大学院SDM研究科の前野隆司先生をお招きし、ご講演頂きました。
後半は松尾玲奈さん(産業保健学部看護学科1期生)をファシリテーターとして、実習(ダイアローグ)を実施しました。
今回は4年ぶりの現地開催&オンライン開催のハイブリッド形式で実施し、48名(現地参加17名、オンライン最大アクセス時31名(現地からのアクセス除く))の方にご参加頂きました。
ご参加の皆様、誠にありがとうございました。
下記に当日の会の議事を記します。何卒よろしくお願いします。
1.題名:幸せな働き方〜幸福学入門〜(前野先生)
開会のご挨拶として、上田陽一学長(4回生)からお話を頂きました。上田学長は当日、学長室からオンライン参加頂き、土屋健三郎初代学長のお写真を含めた学長室のご様子や、上田先生が研究なされていた幸せホルモンのオキシトシンのことを冒頭でお話頂きました。
前野先生のご講演では、冒頭にWell-beingとHappinessの違いについて説明がありました。Happinessは感情的に幸せな状態であるのに対し、Well-beingは身体的・精神的・社会的に良好な状態を示しており、幸福学が言う所の幸せもこのWell-beingということでした。
幸せは、「地位財」型の幸せと「非地位財」型の幸せに分けられ、「地位財」は他人と比べられる財のことで、お金やモノ、社会的地位が該当しますが、それらによる幸せは長続きしないとのことです。一方で、「非地位財」型の幸せは効用が長続きする幸せで、この「非地位財」型の幸せがある状態が、まさにWell-beingと言えるようです。
心の幸せな状態を因子分解すると、4つの因子に分けられるということでした。その因子とは、(1)自己実現と成長(やってみよう因子)、(2)つながりと感謝(ありがとう因子)、(3)前向きと楽観(なんとかなる因子)、(4)独立と自分らしさ(ありのままに因子)です。それぞれの頭文字を取った「ありありなんや」というキーワードをご紹介いただき、いかに「ありありなんや」の状態になるかが、幸せへのヒントということでした。利他は幸せの一因なのですが、利他が行きすぎて「自己犠牲」になってしまうのは注意ということでした。特に医療関係者はそうなりがちなので、利他だけでなく、自分がどうしたいかということも大事なようです。
幸せはうつるという研究結果もあり、自分が幸せになれば周りも幸せになり、自分ももっと幸せになるという好循環につながるということでした。
質疑応答では、過重労働をしていても幸せそうな人がいるのはなぜか?内向的な人も他者とのコミュニケーションがあった方が幸せなのか?といった示唆に富む質問があり、最後まで有意義なご講演となりました。
2.産業保健×幸せ ダイアローグ(松尾さん)
後半は前野先生のご講演を踏まえて、参加者同士によるダイアローグを実施しました。会場・オンラインそれぞれでいくつかのグループに分かれ、チェックイン(自己紹介、前野先生のご講演の感想)をした後、産業保健に活用・取り入れたいこと、今日からできることをテーマにダイアローグを行いました。
講演の感想としては、前野先生の「ありありなんや」と共に、講演内で前野先生がお話されていた、健康に気を付ける、ではなく「幸せに気を付ける」というフレーズが多くのグループで印象に残っているようでした。
グループでのダイアローグの後は、全体で内容をシェアし、学びを深めることができました。発表では、幸せにつながるコミュニケーションを実践したい、社内・学内で幸福学について紹介したい、ストレスチェックで幸せ因子について調査したい、といった内容がありました。幸せが参加者だけでなく、その周りにも波及する、まさに幸せはうつることが期待される、そんなダイアローグとなりました。
研究会のあとは懇親会も実に4年ぶりに開催しまして、13名の方にご参加頂きました。
幸福学の研究会を行ったあとに、幸福度を高めたご参加の皆様と懇親を行うことで、さらに会員間で幸福を分かち合うことができたのではないかと思います!
ご参加の皆様、本当にありがとうございました!