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最終更新日:2024年11月25日

関東地方会

2021年7月10日 第80回研究会


日時
2020年7月10日(土) 13:00~15:00
会場
オンライン(Zoomを使用)
テーマ
「渋沢栄一の『論語と算盤』で未来を拓く」
演者
渋澤 健先生(シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役,コモンズ投信株式会社取締役会長)
複数の外資系金融機関およびヘッジファンドでマーケット業務に携わり、2001年にシブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業し代表取締役に就任。
経済同友会幹事およびアフリカ開発支援戦略PT副委員長、UNDP(国連開発計画)SDG Impact Steering Group委員、東京大学総長室アドバイザー等。
著書に「渋沢栄一100の訓言」、「渋沢栄一の折れない心をつくる33の教え」、「超約版 論語と算盤」、他。
参加者数
43名
報告
小笠原 隆将(三菱ふそうトラック・バス,27回生)
坂本 宣明(ヘルスデザイン,19回生)

2021年7月10日(土)開催の関東地方会第80回研究会について報告いたします。
今回は、「渋沢栄一の『論語と算盤』で未来を拓く」とのテーマで、シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役の渋澤健先生(以下、渋澤先生)を講師にお招きし、司会を日本製鉄の田中完先生(22回生)にご担当いただき、オンライン(Zoom)開催致しました。
渋澤先生は、「日本資本主義の父」で現在、大河ドラマ「青天を衝け」でもおなじみの渋沢栄一(以下、渋沢)の子孫にあたる方です。渋澤先生からは、渋沢の『論語と算盤』の中で語られていた経営の考え方を通して、未来を切り拓くためのメッセージを多くいただきました。特に驚きであったのが、『論語と算盤』で渋澤先生が取り上げられていた言葉の数々が、現代、あるいは未来に通ずる理念であったということでした。

その中のいくつかを紹介させて頂きます。
渋沢は論語と算盤の中で『一人の経営者が大富豪になっても、その他大勢が貧窮しては、その幸福は継続しないこと』、『正しい道理の富でなければ、その富は永続しないこと、そのために論語(道徳)と算盤(経済)を一致させることが重要である』と説いていた、とのことでした。これは、現代でいうところのサステナビリティ(持続可能性)やインクルージョン(包摂性)、そしてSDGs(持続可能な開発目標)に一致する考え方であることが解説されました。また、渋沢は日本資本主義の父と言われているものの、実は渋沢自身が資本主義は唱えてはいなかった、とのことです(渋沢が唱えていたのは合本主義とのこと)。さらに、特に渋沢の考え方で注目すべき点として、『論語と算盤』の『“と”の力』の重要性について、渋澤先生は説かれていました。”と”の力には、矛盾している考え、事情を両立させることにより、現状ある物事を飛躍させる力、未来を切り拓くためのクリエイティブな考えを生み出せる力があることをお話しされていました。この”と”の考え方でSDGsを見た際に、『誰一人として取り残さない』論語的な考えだけでなく『会社が価値あるものを提供しなければ売り上げが立たない』算盤の考えを両立しなければならないが、この算盤のおおもとの考えは価値創造であり、この価値創造をする際に、中長期的な視点、未来をイマジネーションする視点を必要とし、これは自身の未来の子供を考えること、現在では無理でも将来のある点から遡って考える、バックキャスト的な考え方、そして飛躍の考えが重要であることを説かれていました。

次に渋沢が説いた真の常識の定義から、Great companyの経営者の共通点のお話をされました。その共通点とは、渋沢の説く常識の要素である智=wisdomとして、自身の会社の経済エンジンとして、何が回っているかを知っているか?、情=emotionとして、それを動かす情熱が必要であること、そして意=willとしてどんなに小さなニッチでもいいから世界一になることをベストなバランス感でとらえていることをお話しされていました。そして、それぞれの概念の最もベストな場所が中庸の概念であること、この企業経営における中庸を見つけるには違う次元から算盤を見ることが重要であることをお話しされていました。

そして企業理念についてもお話しされました。ビジョン、ミッション、バリューの違い、そしてパーパスの意味について解説頂きました。ビジョンはWhere(どこにむかうか?)、ミッションはWhat(何をしているか?)、バリュー・ブランド・戦略はHow(どのように行うか?)を指していることを説明され、非常に分かりやすかったです。そして最近の企業経営のトピックであるパーパスはWhy(なぜわが社が存在するのか?)を指していて、これに対する答えを持っている会社が勝つ経営をできる会社であること、パーパスは他人事としてでなく、自分事として問いかけ、自分の答えを持っていることが重要であることをお話しされました。そしてこのWhyをビジョン、ミッション、バリューの上に持ってくる理由として、日々の経営としては、Howが必要だが、日ごろやっていることを違う視点から見るためにはWhyが必要で、このWhyを問い、未来を見据える必要があるとお話しされていました。

最後に歴史について触れられました。過去は繰り返さないが、リズム感はあり、過去から繁栄と破壊が一定のリズムで起こっているのではないかと考え、まさにコロナ禍のあった2020年が破壊の年であったことをお話しされていました。このリズムを変えて繁栄につなげていくには切り替わるためのスイッチが入る必要があることと、重要なのは、このスイッチがどうすればオンになるかをイマジネーションしてやらないといけない、ということを説かれていました。その中で日本の現役社会の30代以下の、世界とつながっているデジタルネイティブに期待しているというお話を頂き、下名もまさに30代であったため、この講演全体を通して、未来を拓くための勇気を頂きました。

講演会は渋澤先生のお話の面白さ、深さもさることながら、司会の田中先生の全体の運び、質問に対する応答、小括も素晴らしく、多くの質疑応答が出て非常に盛り上がりました。

その他、単語の羅列で大変申し訳ありませんが、経営関連のキーワードとして、今回のお話で出てきた人物、考え方、書籍名が出てきました。下記に羅列しておきますので、お時間がある時にググってみてください。私も検索してさらに学びを深めようと思います。

検索ワード:
ミルトン・フリードマン/宇沢弘文/社会的費用/社会的共通資本/ダボス会議/ESG/ステークホルダーキャピタリズム/合本主義/道徳経済合一説/インクルージョン/サステナビリティ/ムーンショット(計画)/Good to Great, ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則(書籍名)/BCG 次の10年で勝つ経営(書籍名)/パーパス(経営)/エシカル消費

青天を衝けは、現在オリンピック中ということも有り次回放送が8/15です。次回予告で渋沢が『キャピタル ソーシャル』という言葉を耳にするシーンが出ていました。約150年たった今スイッチを切り替え、よりよい未来を企業人が切り拓くための健康のお手伝いが、出来ればと思います。(NHK等々とのCOIはございません。)以上、開催報告とさせていただきます。

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