関東地方会
2016年12月10日 第68回研究会(理事会・関東地方会 合同企画)
- 日時
- 2016年12月10日(土)13:00〜17:00
- 会場
- 東京八重洲ホール 地下B2大ホール
- テーマ
- 「ストレスチェックを産業医と精神科医の協働の起爆剤にするために」
~精神科産業医協会とは何か? 本当の主役はコーディネーターの保健師か?~
- 参加者数
- 49名
- 報告
- 12月10日に、理事会・関東地方会合同企画を開催しましたので、ご報告します。
今回は「ストレスチェックを産業医と精神科医の協働の起爆剤とするために ~精神科産業医協会とは何か? 本当の主役はコーディネーターの保健師か?~」
というタイトルにて、主としてストレスチェックをめぐる産業医と精神科医の協働について、6名の方にご発表をいただき、忌憚のないディスカッションを行いました。
参加者は49名でした(演者の渡辺先生、医学部卒37名、専攻科・産業保健学部9名、産業医学振興財団の方2名)。
宮本俊明先生(新日鐵住金)の座長により、会の進行とディスカッションが行われました。
はじめに斉藤政彦先生(大同特殊鋼)から、ストレスチェック制度の法制化までの歴史や施行後の実際の運用状況をご紹介いただきました。その上で、義務化された内容が実質的な二次次予防となってしまっている等の課題を指摘いただいた上で、今後は集団分析の重要性について説明いただきました。また、精神科医産業医にかかわる看護職との協働の重要性について調されました。
次に、渡辺洋一郎先生(日本精神科産業医協会)から、「精神科産業医協会の紹介と設立趣旨」についてご自身の経歴も兼ねてご紹介いただきました。精神科産業医とは何か?や精神科産業医の位置付けを整理をいただきながら、職場におけるメンタルヘルスの重要性が益々高まってきている昨今、精神科医としての専門性をもち、産業医としての役割をしっかりと果たすことの意義についてお話をいただきました。
城戸尚治先生(城戸産業医事務所)からは、精神科産業医の議論は、ヘルスケア産業という市場の拡大に伴う問題として広く捉えて対応する必要があると説明がなされました。ストレスチェック制度制定により様々な業者や専門職が産業保健領域に参入してきている現状と、多くの選択肢の中から、利用する人が正しく選択できるための情報提供が必要であると考えられ、産業医専門医はその質を担保しつつ、社会的認知度を高める工夫をしていく必要があると説明されました。
高野知樹先生(神田東クリニック)からは、ご自身の経歴として精神科、企業での専属産業医、学校現場でのメンタルヘルス等を経験していく中で、産業医、精神科医、コンサルタントなどの様々な立場を使いながら、よい支援を行っていくことについて説明がありました。日本の現状として、多くの中小企業で働く多くの労働者がいるが、それらをサポートするために精神科産業医としてもできることがたくさんあるという説明がなされました。またストレスチェックの現場から見えてくるものについても報告がありました。
岩崎美枝保健師(日本電気)からは大企業でストレスチェック導入前から長らく取り組んで来られたメンタルヘルス対策のご紹介と、ストレスチェック導入後に今までの活動がストレスチェックとどのように融合したのか、また面接指導に関して円滑に回すために保健師としてどのようにサポートしたのかなど具体的な役割をご紹介頂きました。
朝信由美保健師(ゼンリン)からは、事業場数が72と大変多く、一括して健康管理を行うことは難しい現状と、ストレスチェックが始まったタイミングで同時にマイナンバー制度の取扱をする必要が出てきたため、人事が多忙になったという企業の現状が説明されました。また、産業医のストレスチェックに取り組む考え方に差があることなどが述べられました。精神科の医師にはセカンドオピニオン的に協力してもらえると非常に助かるという報告がありました。
その後、懇親会には、21名の参加者があり、演者の先生方全員とさらにお酒を飲みながらメンタルヘルス等に関する産業保健の今後について大いに語り合い、盛会のうちに終わることができました。
多くの皆様が積極的に参加いただきましたことを感謝申し上げます。
文責(以下、五十音順)
大崎陽平(ヘルスデザイン株式会社,20回生)
小橋正樹(熊谷組,27回生)
坂本宣明(ヘルスデザイン株式会社,19回生)
朝長健太(厚生労働省,24回生)
野崎卓朗(三菱化学,25回生)
守田祐作(新日鐡住金名古屋製鐵所,24回生)