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最終更新日:2019年11月10日

東海地方会

2018年9月1日 第18回研究会

日時
2018年9月1日(土) 13:30〜16:45
会場
ウインクあいち(愛知県産業労働センター)12階(1204会議室)
プログラム
◇第一部 講演 13:30〜15:00
 成定 明彦先生(愛知医科大学 産業保健科学センター)
 「大学で働いて考えたこと」

◇第二部 卒業生活動報告 15:10〜16:40
 1.竹村 友先生(保健師,東海旅客鉄道)
 2.下野 姫奈先生(作業環境測定士,大同分析リサーチ 環境測定事業部)
 3.道井 聡史先生(産業医,本田技研工業)
参加者数
25名
(医学部20名、産業保健学部5名(看護学科4名、環境マネジメント学科1名))
報告
道井 聡史(本田技研工業,29回生)

2018年9月1日(土)に開催されました東海地方会第18回研究会について報告します。

第一部では、「大学で働いて考えたこと」との演題にて、成定先生の専属産業医時代を含めたご経験とともに現在の大学においてどのような活動を続けられているかといったお話をいただきました。
成定先生は大学卒業後、福岡県内での臨床研修や産業医実務研修センターでの修練を経て、2008年4月に岐阜県にある三菱電機中津川製作所での専属産業医としてご活躍されました。事業所において運動教室などのポピュレーションアプローチを推進されつつ、事例対応も数多くされる中で、これら活動の経験を研究へ生かしたいとの思いがあり、2017年より愛知医科大学 産業保健科学センターへ転職されました。
産業保健科学センターでは、愛知医科大学の産業医をご担当される中、医学部学生への講義・カリキュラム改変に伴う対応・臨床研修委員会などの多彩な業務とともに、産業医学および公衆衛生の視点からの研究活動を行っておられ、「社会医学・公衆衛生の最近の話題」というテーマで三つの話題提供をいただきました。
一つ目は、災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT: Disaster Health Emergency Assistance Team)と呼ばれる公衆衛生的視点からの復興支援の重要性です。昨今、災害産業保健は産業保健分野でも着目されつつありますが、国としても大規模災害時の急性期医療からスムーズに元の生活に戻るための避難所運営が課題となっているようです。感染症予防や衛生面の視点をもちつつ、被災者をより広く捉えた復興支援の在り方の大切さを感じました。
二つ目は、リアルワールドデータとも呼ばれる観察データを用いた研究への期待です。エビデンスを高める工夫として従来のRCTのみならず、内的妥当性を高める方法による観察研究が重要視されつつあるとのことでした。観察データを用いて因果推論を推定する解析方法も複数紹介され、産業保健分野で行われる観察研究がより広がっていくのではないかと感じました。 
三つ目は、社会疫学の着目として健康格差を中心に解説いただきました。成定先生は『ポピュレーションアプローチの失敗』と表現されておられましたが、個人の自覚を促す仕組みだけでは限界がある点を話され、まさに現実の産業保健活動で実感する問題に対して行動科学の観点からいくつかの解決案を提示いただきました。行動科学は社会医学分野で注目されている手法であり今後の産業保健での施策にも活用していくべきと締めくくられました。
 講演における様々な内容に興味深く拝聴しましたが、それだけでなく成定先生が質疑応答への回答として「産業医活動を振り返ると、他職種連携の重要性やそのメンバーを巻き込んで明確な答えが出ないところを手探りで進んでいくのは現在の経験でもかなり活用できている」との言葉が私にはとても印象的でした。

第二部では、卒業生報告として産業保健学部看護学科・同環境マネジメント学科・医学部よりご発表いただきました。

東海旅客鉄道 保健師の竹村 友さん(看護学科18期生)より「入社1年目を振り返って」のテーマでこれまでの活動を話していただきました。東海旅客鉄道では入社直後のオリエンテーション後も入社1・3・6・12か月のタイミングで業務の振り返りが行われています。例えば、3か月目の振り返りでは、自分達で業務内の問題点を見つけ、その対応策までを検討されていました。具体的には、健康診断会場での血圧測定時の姿勢について課題を見つけ、正しい姿勢での測定方法について周知するリーフレットを作成されたそうです。社内研修や各種勉強会だけでなく、運輸職場やトンネル内作業見学による実体験も通じて、労働者一人一人の特性に合わせたきめ細やかな配慮を行いたいとのお話でした。

大同分析リサーチ 環境測定事業部の下野 姫奈さん(環境マネジメント学科8期生)よりご発表いただきました。大学卒業後に産業医大大学院産業衛生学専攻に進学され、光触媒とシリカゲルといった新素材を防毒マスクの吸収缶への応用をテーマにご研究されました。大学院修了後は、2017年4月より大同分析リサーチへ就職され、作業環境測定士としてご勤務されています。大同リサーチは、大同特殊鋼のグループ会社のため様々な鋼種から生じる金属類の測定や複数の有機溶剤を測定される業務が存在し、測定や分析に困難な部分がありながらも多くの経験を積んでいるとお話しされました。今後の課題として、より多くの現場での測定経験を積むことや個人ばく露測定といった新技術を学ぶことを積極的に取り組みたいと抱負を述べられました。質疑応答で新素材の有用性について参加者から質問が出ましたが、下野さんによると破過時間の延長や再生利用といった点で新素材への可能性が研究で示唆されたとお答えいただきました。

最後に、本田技研工業 鈴鹿製作所の道井(医学部29回生)より「より広がる産業保健活動に向けて」というテーマで話を行いました。現在所属する事業所内容とともに、健康管理センターの構成や活動内容を報告いたしました。化学物質管理や従業員全体への啓発活動といった現在の事業所内の課題を報告したところ、質疑応答の際には偉大な諸先輩の先生方より励ましのアドバイスをいただけたのは嬉しい限りでした。

例会終了後の懇親会にはご発表者を含め23名の参加があり、例会の内容以外にも近況報告や現在の産業保健活動の情報共有を行い、学科や卒期を問わず和気あいあいと参加する東海地方会ならではの盛大な懇親会になりました。

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